[ 銀色カフェの雪待月 ]




 どんよりと曇ったその日は、心なしか肌寒かった。
「・・・おはようございます。今日はココアひとつ持ち帰りで。それとコレ」
 朝二番の時間に入ってきたは、真っ赤な手でスイートポテトを指差す。

「・・・クッ、朝からか?しかも、ココアと?・・・・・・手袋くらいしろ」
 笑いながらもココアの準備を始める知盛。
「・・・だって、今日めっちゃ寒い。雪降りそう・・・・・・手袋は忘れ・・・・・・・・・」
 秋なのに少しばかり気温が低い。
 歯をガクガクさせながら、途切れ途切れの

「まあ・・・そう言うな。将臣。ラテもサービスに用意しろ。・・・甘すぎだ」
 知盛が組み合わせの甘さ加減を想像して眉間に皺を寄せた。
 朝一番の忙しさが一息ついて、食器洗いを終えた将臣が返事をした。
「おう!ぐらいだぜ?こんなサービス受けられるのはな!」
 笑顔で将臣が小さな紙の手提げを準備して、先にスイートポテトを入れた。

「だ、だって・・・寒い・・・・・・寒すぎだよ・・・・・・」
 の言葉に、知盛は片眉を上げ顔を顰めた。
 が胸の前で手を組んで、小さく震えている。
「将臣。お嬢さんの様子が変だ。体温計もってこい」
 幸いにも朝二番の時間だったために、他に客はいない。
 知盛がの手を取れば、始めは外の気温で冷えていたので冷たかったが、すぐに知盛よりも温かくなった。

「あ・・・あったかぁ〜〜〜。マスターって、手が温かいんだぁ。それって・・・・・・」
 “冷たい性格”までを言って、からかう前に知盛に抱き上げられていた。
「将臣!駄目だ、熱がある。奥に一度寝かせるから用意しろ」

「えっ?!そんなに熱あんの?馬鹿だ〜、は。休めばいいのに」
 体温計を片手に持って来た将臣が、また奥へ引き返す。
 残念ながら仮眠用のソファーしかないが、には十分な大きさだった。



「会社・・・遅刻しちゃう・・・・・・」
 だるそうに額に手を当てながらが呟く。
「・・・つか、が来た時間自体が遅刻じゃねぇの?」
 将臣がもっともな事を尋ねる。
「・・・将臣くん。世の中にはフレックスという便利なものがあるの。覚えるように」
 額に冷たいタオルを当てようとした将臣の顔に、の手がペタリと張り付く。
「・・・・・・サン。親切を仇で返さなでクダサイ」
「つか、携帯取って。会社行った方が早いか・・・・・・」
 起き上がろうとすると、の携帯を持った知盛が部屋へ入ってきた。

「さて。午後出社でもいいと言ってるが、会議は無くなったらしいぞ?また本人から連絡させると言っておいたが」
「えっ?!知盛さんが電話したの?」
 がタオルが飛ばしながら体を起こした。

「ああ・・・熱があるから病院行ってからにします・・・・・だけな。ま、それだけ動ければ注射で熱も下がるだろ」
 床に落ちたタオルを拾い、テーブルに置くと将臣の方を向く。
「店も閉めたし。車回してきたから、ソレはお前が担げ」
「ああ?!俺か?・・・まあ、そうだな。んじゃ、いくぞ〜」
 に有無を言わせずに将臣がさっさと背負う。





 次にが目を覚ました時は、病院のベッドの上だった。
「・・・あれ?・・・・・・管刺さってるよ・・・・・・・・・・・・」
 まんまとの右腕には点滴の管があった。さらに顔を上げれば将臣がいた。
「アホ!あんなに熱あるのに、会社じゃなくて病院が先だろうが!」
 ぺちりと将臣に額を叩かれた。
「・・・だって。今日の会議は大切な会議で・・・・・・プロジェクトの締め切りもいっぱい、いっぱいでさ・・・・・・・・・」
「お前だけじゃなかったらしいぞ?今日の休みは。部長が朝イチで休みの連絡があって、会議は中止だったんだとさ」
 将臣がの目の前にストラップを持って携帯を揺らす。
「こっそり気になる事があるなら連絡しろよ。病院だから、ホントはまずいんだろうけど」
「あ、ありがと。じゃ、ちょこっとだけ・・・・・・」

 先に知盛が電話してくれた履歴が残っていた。
(知盛さんって、気が利いてるよねぇ・・・・・・)
 会議が無いと聞いたので気が抜けたといっても過言ではない。
 しかも、それを確認して告げてくる辺りが知盛のデキルところである。


 数度のコールで聞きなれた後輩の声がした。
「こ、こんにちは・・・かな?ごめんね、突然行かなくて。皆は・・・・・・あ、そうなんだ。あは・・・・・・」
 静かに将臣が席を外すのを横目に、軽く片手で感謝の意を伝える。
 どうやら早くも点滴が効いてきたらしい。思ったよりも体が動く。
「・・・・・・じゃ、今日は休ませてもらう。うん。後で届け書く。ありがとう」
 そのまま電話を切り手をベッドへ下ろすと、とても楽になった気がしていた。





「そろそろ点滴終わったか?」
 しばらくウトウトしていると、知盛と将臣、それと看護士が一人部屋へ入ってきた。
「まったく。こんなになる前に来るものよ?」
 口調はキツイが、テキパキと点滴の管をはずされ、処置をされる。
「・・・はぁ。わりと熱には強くてですね・・・大体いつも平気なくらいかな〜と。あ、後で病院へは来ようと思っていたんですよ」
 さり気なくいい訳をしながらも、体力には自信がある事を伝える。

「お兄さんと弟さんに気づいてもらえなかったら大変だったわよ?え〜っと、薬は・・・・・・」
 看護士が知盛を見ると、いつもの知盛らしくなく礼儀正しく、
「はい。先に処方箋をいただけましたので。もう、ここに。後は帰って寝かせるだけです。お世話になりました」
 そのまま頭を下げた。

(げっ!知盛さんが人にお礼言ってるよ・・・っか、いつのまに兄弟?!)
 知盛の後ろでは、将臣もわざとらしく一緒に頭を下げていた。

「すいません、姉はいつもこんなんで。無理ばかりするんですよね〜〜。酷くなってから迎えに来いとか、いつも迷惑で」
 調子に乗って将臣がありもしない事を付け加える。
「あら、あら。仲良しさんなのね。それじゃ、お大事に」
 看護士が部屋を出て行くと、途端に知盛が伸びをした。

「と、いうわけで。お嬢さん。家まで送るぜ?安心しろ、送り狼はしないから。保険証持ってて助かったぜ?」
 知盛はベッドへ腰かけると、のバッグを差し出した。
「あ・・・色々すいませんでした。あの、帰りは帰れますから。はい。何から何まで・・・・・・」
 が頭を下げると、知盛に頭を撫でられた。
「ま、バッグを勝手に漁って悪かったな。それと、住所はわかってるんだが?そう硬くなるな、兄弟だしなぁ?」
 知盛と将臣が小さく笑った。の眉間に皺が寄る。

「あの〜、色々していただいて。それは嬉しかったし、有り難かったんですけど。いつから兄弟なんですかっ!」
 が布団を叩く。

「さっきから。だってさ〜、お前ってば意識無かったし。あのままじゃ人攫いだぜ、俺たち」
 将臣が知盛を退かせると、ベッドの下への靴を揃えて置いた。
「あ、ありがと。そ、その・・・・・・すいませんでした。はい、お二人と兄弟で光栄です・・・・・・」
 恥かしさで顔から汗が吹き出そうだが、出来るだけ視線を床へ向けて大人しく靴を履いた。

「・・・・・・家まで送るぜ、妹君。親切は受けるもんだ」
 知盛がさっさと部屋から出て行く。その手にはのバッグと薬が入った袋を振り回している。

「ほら。置いてかれるぜ、兄貴に」
 将臣が笑いながらを支えて歩き出す。
「ありがと・・・その・・・お代は・・・・・・」
「ああ。それは知盛。多分受け取らねぇだろうからさ。今まで通りに店に来るんだな」
「う、うん・・・わかった」
 黙って将臣に支えてもらいながら歩くと、すぐに駐車場に着いた。

 知盛が後部座席のドアを開けた。
「将臣。お前枕役」
 将臣が乗る間、知盛がを支えた。
「ほら、あれが枕だ。一応安全運転を心がけるが・・・落ちないようにな」
 を押し込む知盛。は将臣の膝を枕に乗るしかなかった。

「そ、その・・・・・・」
「ああ。タオルかけるし、体支えてるから寝てろ」
 将臣の手で顔にタオルをかけられてしまい、場所がどこなのかさえわからないまま薬が効いて眠りについていた。





「鍵!鍵取るぞ」
 将臣がのバッグから鍵を探し出すと、ドアを開けて中へ入る。
「うわ〜、綺麗にしてんのな。ま!らしいっちゃ、らしいわな」
 ズカズカとの腕を取ったまま上がりこむ将臣。

「あ、ここね。ドア閉まるんだ。じゃ、着替えて寝ろ」
 ベッドにを座らせると、バッグと薬を置いて将臣が出て行った。

「あ、・・・・・・はぁ〜〜〜〜っ」

(お礼も言う暇が無かったよ・・・・・・)
 そのまま枕に顔を埋めると、すぐに扉がノックされる。


「お〜い。着替えてるのか?それとも、まだ?」
「ま、まだ!まだ、全然!」
 慌てて元の通りに座る

「っそ!ある意味残念だな〜。でも姉貴じゃな〜〜〜」
 軽口を叩きながら将臣が水のペットボトルを持って現れた。
「冷蔵庫漁った〜。開けておいたし?」
 キャップを一度開けてから閉めてくれたのだろうとわかる。

「あ、ありがと。オートロックだから、鍵はその辺置いていってくれれば大丈夫。明日には起きて会社行けそうだし・・・・・・」
「明日は土曜日でぇ〜す!頭沸いてんな〜〜」
 将臣に額を指で突付かれて思い出した。
「あ゛!」
 とて、家を出るまでは覚えていた。あと一日だから、今日は何とかと思ったのだった。
「・・・・・・イケてなさすぎ。土日で治そ・・・・・・」
 今度は将臣が居ることを忘れて着替えだす

「あのなぁ・・・いくら弟でも見せられても困るっての。もうしばらく向こうにいるから」
「ひゃっ!そ、その・・・平気!い、いつも一人でなんとかしてるの。だから・・・・・・」
 着替えの手を止めて、が両手を突き出した。

「ざ〜んねんでした。兄貴が買い出しに行ってるんだな〜。おかゆでも作ってくれるんじゃねぇの?美味いよ、知盛のおかゆ」
 将臣が、食べないのは信じられないとばかりに大げさに数度頷く。

(えっ?!知盛さんのお料理・・・美味しそう・・・・・・)
 半分以上心が傾いている。確かに魅惑的であるが、これ以上の迷惑はとも思う。

「あれだ。の分のついでに俺の分もあるかと期待してたんだ・・・がいらないとなると俺も食えないな〜」
 部屋から出て行こうとする将臣。
「ま、待って!食べたい!すっごく食べたいですっ」

 ニタリと笑った将臣がドアノブを握ったまま振り返る。
「だろ?大人しく寝てろ。起きた頃には皆で食えるだろうし」
「う、うん。わかった」

 小さな頃、病気になると母親が甘やかしてくれた記憶が甦る。
(何か・・・すっごい嬉しいな・・・・・・・・・どうしよ)
 パジャマに着替えると、大人しくベッドに横たわる。眠るまでにそう時間はかからなかった。





 次にが目覚めた時には、ドアが少しだけ開いていた。
 隙間から光が差し込んでいる。

(誰か・・・いる?)
 ぼんやり天井を見上げながら考える。
「そっか・・・・・・そうだった・・・・・・・・・」
 遠くの物音を聞きながら、将臣と知盛が居るだろう事を思い出した。

 すると足音が近づいてきた。
「あ、起きた?汗かいたとか?着替えたらこっち来いよ。今は・・・夕方の五時くらい。五時間は寝てたな」
 いいたい事だけを言って将臣が部屋の明りをつけて扉を閉めて戻っていく。

(ふふっ。将臣君って、大雑把そうで気が利くよね)
 今までが寝ていた部屋は暗かったのだ。扉から漏れる光が見えたのだから。
 それが起きたとわかると明りをつけて戸を閉めていった将臣の心遣いが嬉しい。
「着替えるか!」



 パジャマを着替え上にフリースを着て、さらにひざ掛けを持ってリビングへ行けば、いつもと違って部屋は暖かくなっていた。
「わ・・・・・・レストランみたい」
 きちんと一人ひとり分に分けて並べられている食器。
「家・・・こんな食器無いよ?」
「・・・クッ、持ってきた。気にするな、食器付きのデリバリーだと思え」
 黙って自分の分らしき場所に座る。普通のテーブルとラグだけのリビングだ。

ってコタツ使わねぇの?床暖房なんだな」
 いつの間に着替えてきたのか、先ほどは気づかなかったが将臣も知盛もラフな服装になっていた。
「そ、そうなの。コタツだと出たくなくなるし・・・あるものは使ってみようかなって」
「ふ〜ん。これはこれでいいよな。知盛の家もそうだし」
 将臣も座ってるだけで、テーブルに並べるのは専ら知盛だけだった。

「そ、その・・・知盛さん。あの・・・・・・」
「病人は黙ってろ。将臣にはわざと手伝わせないんだ。こいつに崩されたらもったいない」
 には梅粥に始まって、出し巻き卵に小さな焼き魚にみそ汁と純和風な器が並ぶ。
 将臣の前は中華風だった。
「俺は中華粥〜。これ、美味いよな〜〜」
 将臣が嬉しそうに椀に手を当てる。
「・・・いいなぁ・・・・・・・・・」
 つい口から出てしまったのだが、知盛が笑いながらの前にお手拭を置く。
「調子が良さそうなら、おかわりは中華粥もある。安心しろ。じゃ、食うか」
 知盛の合図でそれぞれ箸やレンゲを手に持った。



「た、玉子焼きっ。バリウマ〜〜〜」
 握りこぶしで感動していると、将臣に頭を軽く突かれた。
「アホ。女が“バリウマ”とか言うな」
「あ。いちおうオンナの枠だったんだ、私」
 の返事で、将臣と知盛が顔を見合わせた。
「・・・お前、新しいイキモノのつもりだったのか?」
「いや〜、後輩っていうか、先輩っていうか・・・・・・ちょっと待って!知盛さんって、絶対に私より年下だと思う」
 藪から棒にが話題を転換する。
「・・・クッ、そうだな。オネエサマらしいけど、見た目がそれじゃ妹だな」
「えっ?!知盛、コイツの年齢知ってんの?いつの間に???」
 将臣の方が先に反応した。
「ん?健康保険証・・・・・・」
 知盛にしては素直に種明かしをした。

「ズッルーイ!どうして知盛さんだけ知ってるのよ。何それ」
 が箸を知盛の顔へ向けた。
「・・・クッ、油断するなって事だな。・・・・・・しかし、ここは何も無いな。治ったら家で鍋するから来い」
「だよな〜。知盛がこれデリバリーしてきたんだぜ?よく暮らしてるよな」
 今度は将臣の頭が知盛によって叩かれた。
「お前の何も作らないのに汚かったキッチンよりマシ。一人ならココの作りで十分なんだ」
 ガスがひとつというのは何気に料理好きには苦しいキッチンの作りだが、一人ならそう困らない。
「・・・・・・ま、実際私もそう料理が好きなわけじゃないので。こんなもんで何とかなってるんですけど」
 正直に料理が得意ではない事を白状する
「だよな〜、そんな感じ。ってば、知盛の料理につられて俺がココにいるの許可したくらいだし」
 将臣が食べ終わった椀を出すと、知盛がおかわりを入れて返した。

「・・・だって・・・確実に美味しいものが食べられるチャンスじゃない。もったいない」
 病人だったはずの。全般的に少なめに用意されていたとはいえ、すべてを食べ終えていた。
「・・・クッ、いい事だ。チャンスは最大利用しないとな。中華粥も少し食べてみるか?」
 知盛がの方へ手を出したので、おずおずと食べ終えた粥の椀を差し出す。
「す、すいません。病人のくせに大食らいで・・・・・・」
「いや。過労の熱らしいから。治療法は食って休むだけだな・・・・・・。そうだな、明日は鍋にして、迎えに来るか」
「やった!ラッキー。知盛の鍋。何?何にする?キムチとか美味かったよな〜」
 指を鳴らしながら将臣が過去に食べた鍋を回想する。
 またも知盛に頭を叩かれた将臣。
「・・・過労って言ったのが聞えない耳なのか?水炊きだ。消化と栄養第一。そんな刺激物食えるか」
 の椀を反対の手で差し出した。

「あ、すいません。水炊き・・・いいなぁ。キムチも好きですよ?元気になったらキムチ鍋も食べてみたいなぁ」
「・・・クッ、遠慮が無いことで」
 知盛が笑う。
「とか言ってさ。知盛ってば、女は面倒とかいいながらは面倒見てるし。珍しいじゃん」
「・・・まぁ・・・は面倒じゃないし。将臣の相手もしてくれるからな。それに・・・・・・昔の俺に似てる・・・・・・」
 
 ひとりですべて完結させるように、常に神経を張っていた頃の知盛に。

「・・・・・・妹だけどな?」
 知盛にニヤリと笑いかけられた
「あ〜、もう!年上の威厳ってもんがないよぅ・・・・・・しかも、これ美味しすぎ」
 しっかりおかわりも平らげた
「・・・すげぇ、こんな病人始めてみた。あんなにへばってたのに。奇跡の回復力だよな〜」
 将臣がテーブルに肘をついて感心したようにの食べ終えた食器を眺める。
「なによっ。将臣君なんて、こんなに美味しいご飯、タダで毎日食べられて。贅沢なんだから」
 顔を背ける
「ま、そうかもな。には薬だな。取ってくるからここにいろ」
 将臣が立ち上がって寝室へ薬袋を取りに行った。

「・・・・・・将臣君にまで面倒みられてて。も〜〜、ダメダメ」
 知盛が片付け始めて何も無くなったテーブルに突っ伏す
「・・・そう言うな。一人は楽だが、誰かが居るってのもいいもんだろ。偶には頼って来い。携帯に番号登録しておいた」
 水が入ったグラスをの目の前に置く知盛。

「・・・甘やかさないで下さい。二人に頼りたくなるから」
「頼ればいいじゃん。っかさ!俺もを頼りにするかもしれね〜しさ」
 将臣がグラスの隣に薬袋を置いた。

「そんな事言われたら、ほんとに頼っちゃいそうだよ・・・・・・」
 薬を並べて飲む準備をしながら呟く

「・・・チャンスは生かすものだろう?片付けはしていくし。明日夕方に電話するから。具合が良さそうなら迎えに来る」
「そ〜、そ〜!のデザートリクエスト受け付けるぜ?俺が作っておくし!」
 将臣が親指を立てて存在をアピールする。

「・・・・・・知盛さんのデザートがいい」
「つめたっ!ひっで〜の、は」
 将臣がワザとらしく頬に手を当て泣き真似をする。
「だって・・・・・・弱ってる時にヤバイ食べ物は体に悪そうで・・・・・・」
 水で薬を流し込む

「・・・クッ、クッ、クッ・・・・・・ハッ!将臣の負け。俺がアシストするから一応将臣作で許してやってくれ。それと・・・・・・」
 知盛が立ち上がる。
「気温が寒いのか、自分に熱あるのかくらいは気づけよ?またな」
「だな。じゃ、明日電話する。ちゃんと寝ろよ!」
「は、はい。ありがとうございました〜!」
 いつのまに片づけが終わっていたのか、二人は素早く姿を消した。



 急に静かな部屋に一人にされてしまった
 しかし、明日の約束が心を温かくしてくれる。
「よしっ!水炊きの為にも、しっかり熱だけは下げないとね。これは薬のおかげだとおもうし」





 銀色カフェの出張サービスは、特定の人にしかございませんのであしからず───








(Printing day:2005.11.14)

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