[ チモリネコ? 第1話 ]





 俺の名は知盛。チモリでもトモモリでも、適当に呼ばれている。
 一見ネコに見えるだろうが、実は豹だったりする。
 そんな事はどうでもいい。
 最近じゃ俺の縄張に来るのは、喰われたい奴か、勝負に来た馬鹿な奴くらいだった。
 喰われたい仔猫ちゃんは、何匹でもいただくし。
 勝負に来た奴は、二度と来られないようにおもてなしするのが俺の流儀。
 けれど、喰うのも毎度同じだと飽きがくる。
 新しい仔猫ちゃんが迷い込むのにも待ち飽きて、テリトリーを広げようとしたあの日。
 団子を食っている俺の方へ近づいてきた猫が居た。
 名前は───将臣!
 聞いていないのに、向こうから名乗った。

 将臣は、いかにもわかりやすかった。
 かなり団子が食いたかったようで。
 俺の目の前で、指を咥えて見ていた。
 最後の一本を口にした瞬間、いよいよ声に出してアピールして来る。
 「ダンゴいいなぁ〜、欲しいなぁ〜。いいなぁ〜〜〜」
 ひたすら俺の口元を見つめる。

 ヤメロ!食事を見られるのは趣味じゃない。
 しかし、この高揚感は何だ?





 次の日も、俺は団子を食べてみる。
 どこから嗅ぎつけてくるのか、またも将臣が姿を現した。
 俺は、いつから見られるのが嬉しいタイプになったんだ?
 今日は最後の一本を食べると、何も言わずに去った。
 アイツ・・・エサどうしてるんだ?
 迷い猫の将臣。どこから来た?



 自分の行動の意味を確認すべく、俺はいつも喰ってる仔猫ちゃん呼ぶ。
 目の前で団子を食べてみる。

 ・・・・・・何も心が動かされない。おかしい。

 食指が動かず、とっとと仔猫ちゃんを追い出す。
 明日また、将臣で遊ぼう。
 今夜は、ひとり(いや、一匹か?)月見酒と洒落込む事にした。





 昨日の検証によると、俺は将臣が気になっているらしい。
 そう、この気持ちは・・・喰いたい!
 これが一番しっくりくる気がする。
 今日は、将臣を落とすことにした。
 口説いても無駄だろう。アイツの様なタイプは、騙すに限る。

 団子を食べ始める。
 将臣が来る。
 わざとゆっくり頬張る。
 そうだ、それでいい。
 俺の食べるところ、よく見るんだぜ?
 次はお前を喰べるから───

 ついつい口の周りを舐めてしまう。
 いわゆる舌なめずりって行動だ。
 今食べているのは団子。これから喰べたいのは将臣。
 頭の中では、将臣を喰べ終わっていた。

 もったいぶって最後の一本を指先で摘んで揺らす。
 将臣は、団子の串の動きに合わせて首を振る。
 そうだよな、お前がこの俺のテリトリーで得られる餌には限りがある。
 腹の空き具合も限界だろう?
 最後の団子を将臣に差し出すと、美味そうに食べ始めた。

 半端に食べると余計に腹が減るだろう?
 其処が俺の狙い。
 他に何かくれるかと、期待に満ちた目で俺を見ている。

 「団子がなっている場所、知りたいか?」

 我ながら馬鹿げた誘い文句だ。
 しかし、こんな野原でコトを致すのは俺の趣味じゃない。
 それにしても、こんなアホな誘いに乗ってくるとは・・・・・・
 俺の方が騙されているのでは?と、疑いたくなるが。
 気にせず茂みに誘い込む。

 「この奥に、やまほど団子があるんだ」

 俺の言葉に、将臣の腹が反応を示した。

 グゥ〜ッ・・・キュルキュルキュル───

 お前、まさかと思うが断食でもしていたのか?
 将臣の腹より、俺の方が急ぎの用事だ。
 優先権を主張させていただく。ここは俺の寝床だしな。
 姿を元に戻すと、素早く将臣を抱える。

 「チモリィ?ダンゴ、どこ?」

 可愛く言っても駄目だ。
 お前は今から、俺が喰う。

 「ダンゴーーーー?」

 残念、団子は無い。
 だが、お前が望むなら直に盗って来る。
 だから・・・先に喰わせろ!








(Printing day:2005.05.04)

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