[ チモリネコ? 第4話 ]





 むにむにっ。

 隣で寝ている将臣の頬を摘まむ。
 コイツ、疲れたといって、とっとと小さくなって。
 先に寝床を占領しやがった。
 主である俺がチビ将臣の隣に入るには。

 「・・・クッ、小さくなれって?」

 どまんなかで眠る将臣の隣に寄り添った。
 まったくもって。
 態度がデカイぞ!
 まあ・・・かなり無理させたしな?
 明日は約束通り、団子・・・たくさんやるからな。

 チビ将臣が寝ているのをいいことに、背中から抱きついて眠りにつく。
 こんなに温かいのは久しぶりだ・・・・・・
 「お前、子供体温だな」
 耳元で囁いたが、寝返りをした将臣に叩かれただけだった。





 翌朝、爽やかな目覚め・・・・・・にはならず。
 将臣の腹の虫がオーケストラを奏でていた。

 チッ・・・起きるか。

 目を開けると、将臣が指を咥えて俺を見ていた。
 コイツ・・・俺の事、食べる気だったんじゃ・・・・・・
 一瞬、あらぬ想像をして寒くなったが気を取り直す。

 「そういう目で見るなよ?約束の団子だろ。すぐに盗って来てやるから」

 将臣のしっぽが、あまりに正直で笑えた。



 さて。人間を誑し込まないとな。
 ターゲットは女に限る。
 しかも、妙齢のご婦人だと俺は大変ウケが良い。
 この顔に万歳だ。
 本日も、撫でられるのを我慢する。
 この従順ぶりが餌の元。

 そろそろいいかな?
 今日はあんまりサービス出来ないんだ、悪いな?
 将臣が待ってるんだ。
 ひらりと人間の手から逃れて、餌を盗って逃げる。
 まあ、向こうもわざわざ用意している辺り。
 たまに触らせればいいんだから、安いもんだな。
 これもいわゆる、サービス業?
 カリスマホストも夢じゃないが。

 今の俺には。
 将臣以上に興味が持てるものなんてないんだ。
 俺の家を目指してひたすら走った。



 危ないところだった!
 将臣が草を見つめていた。
 そんなに腹が減ったのかよ・・・・・・
 急いで戦利品を将臣に差し出した。

 ちゃんと食べろよ。
 あ〜、あ〜!
 口の周りがベタベタだろうが。
 いや、これは好都合?
 綺麗にしてやるふりをして、みたらしを舐めとる。

 「もきゅ、もきゅ。ごっくん!・・・ありがと」

 コイツ・・・すっげ可愛いんですけど!
 慌てなくてもとらないぜ?

 俺は、将臣が食べる様子を眺めて。
 時々親切ぶって綺麗にしてやった。

 「あ・・・・・・チモリの分は?」

 あるわけないだろ。
 お前、それ全部串しか残ってないし。

 「・・・クッ、無いようだな?」

 チビ将臣が俯いた。
 「ごめんなさい・・・・・・チモリのご飯・・・・・・」

 俺は、チビ将臣に深く口づける。
 「んぐぅ?」
 ん・・・団子味だ。
 「これで充分。気にするな。それよりここで俺と暮らさないか?」

 「・・・・・・うん。いいよ。わ〜これで雨でも安心だね」

 ・・・・・・は?やっぱりコイツ野宿だったのか?!
 もう少し頭使えよ。

 「そうか。それなら・・・少し部屋を広くするか」
 寝床はこのままでいい。
 狭い方が楽しい。
 ただ・・・・・・部屋は広い方がいいよな。
 ここは大きな木の根元だから。

 「おい!部屋に必要な物探しに行くぞ」
 「うん!今日から二人暮しだね。家族みたい」

 将臣のいう家族と。
 俺が考えている家族には。
 少々違いがありそうだが・・・・・・。

 「ば〜か。こういうのを人間は“同棲”っていうんだ。覚えろ」
 「そっかぁ〜。うん、覚えた!」

 将臣に何か教え込む時は、チビな時にしよう。
 かなり都合よく知識を埋め込めそうだ。

 あ!俺としたことが!!!
 浮れて一番大切な事を忘れていた。
 人間の所から『ローション』を頂いてこないと。
 またチビになって先に寝られちまう。

 今夜は長く楽しませてくれよ?将臣───

 俺の隣を走るチビ将臣には聞かれないよう、心の中で呟いた。








(Printing day:2005.05.10)

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