[ チモリネコ? 第5話 ]





 その日はいい天気だった。
 梅雨になる前にと、俺はせっせとリフォームをしていた。
 はっきり言って、チビ将臣はあてにはならない。
 ひとり(いや、一匹か?)、部屋に必要な物を集めては戻りを繰り返していた。

 「・・・何だ?」

 そう、葉に包まれたあやしげな物体。
 しかし、よくよく見れば餅らしきソレ。
 程よく小腹も空いていた。

 「おっ!も〜らいっ!!」
 手にとって食べようとしたその瞬間、俺は顎に激痛を覚えた。

 ギュイィィィィィィーーーーーーンッ!!!

 ・・・俺の商売道具の顔になんて事を!
 普段の俺らしからぬ、「グエッ!」という叫びとともに撃沈した。
 俺様に蹴りをいれるとは、いい度胸だな?将臣。

 ヤツは、倒れている俺に見向きもせずにその物体───柏餅(味噌餡)を食べていた。

 コイツ、俺の事を柏餅以下の扱いしやがった・・・・・・。
 相当面白くはないが、柏餅をどうしたのだろう?
 ここは素直に訊いてみた。

 「将臣。それ・・・どうしたんだよ?」

 両手で大切そうに柏餅を食べていた将臣が振り向く。
 「あっちで貰って来た」
 また顔を戻して食べ始める。

 将臣は顔だけはいいもんな。
 チビの時は、かなり頭悪いが。
 いや、そこが可愛いといえば可愛い。
 餌を自分で取れたのは上出来だ。

 「・・・クッ、よかったな?」

 軽く誉めておき、部屋に集めたモノを運ぶ。
 その時将臣が俺の肩を叩いた。

 「そうだ!チモリもさ、貰いに行ってきなよ!」
 食べかけの柏餅を持ったまま、無理矢理に俺を公園へ引っ張る将臣。
 大人しく連れられてみる俺。
 俺は将臣のお誘いは断らないぜ?



 「どこかな〜さっきの人たち。なんだか家族連れっぽかった」

 辺りを見回せば、人間だらけ。
 子供に見つかる可能性大。
 はっきりいって、あいつ等に見つかればタダでは帰れなくなる。
 そう、これは『GW』と書いて『ゴールデンウイーク』という人間のお休み時期だ。

 「将臣、俺はいいから戻ろう。ガキに見つかると面倒なんだよ!」
 将臣の首根っこをくわえて、大急ぎで家へ戻った。
 このお誘いは断った方がよかった。
 断らないのは、夜のお誘い限定に変更。



 「どうして〜?チモリの貰わないの?」
 言っちゃなんだが、お前は運がよかったんだ。
 じーさんか、ばーさんがくれたんだろう。
 子供がいたら、一発で玩具だ。
 「俺はいいから・・・・・・」

 実際、どうしても食べたいというもんでもない。
 何となく小腹が空いたか?程度。

 「じゃあさ、俺と半分こしよ。はい!」
 将臣が2/3食べた残りの柏餅の半分を俺にくれた。
 非常に言い難いことだが、肝心の味噌餡はほとんどない。
 しかし、将臣の気持ちだ。
 「・・・もらっとく」
 将臣が差し出した手から、そのまま食べた。

 「チモリ〜、自分で食べなよ」
 ほんとうに馬鹿だ、コイツ。
 あれだ。
 食べさせてア・ゲ・ルvくらい言えないのか?
 可愛いんだか、可愛くないんだかわからん将臣との柏餅間接チュウv

 どうせわかってないから、説明してはやらないが。
 そんな五月の風が気持ちいい一日の出来事。








(Printing day:2005.05.25)

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