[ チモリネコ? 第9話 ]





 いつもの朝のハズだった。
 へんなイキモノが増えている事に気づくまでは。

 昨日は、大量に買い込んだ夜のお助けグッズを試すべく。
 早速といってはなんだが。
 “カプチーノ味”を試してみた。
 将臣の想像より甘かったらしい。
 実に楽しい時間を過ごさせてもらったんだが・・・・・・。



「チモリ〜、お腹空いたぁ〜〜〜」
 俺はコレが将臣だという事は、理解している。
 しかし、俺の腕枕している将臣も将臣だ。
 しかも、そのデカイ方の将臣は、チビな俺を抱えて眠っている。
「・・・・・・将臣・・・だな?」
「うん!お腹空いたってばぁ〜〜〜」
 大きな溜息を一つ吐き出し、そっと腕を抜いて朝メシの支度に取り掛かる。
「わぁ〜い!今日は、何?」
 何って・・・朝からどんなご馳走を想像してるんだ。
「パンに目玉焼きにサラダ」
「え〜〜〜、嫌だよぅ。ハンバーグがいい!」
 ・・・んだと?!どういうテンションしてるんだ?
 まあ、この時間じゃそれも仕方ないか。もう昼近い。
「・・・仰せのままに。さっさと顔洗ってこい」
「うん!」
 問題は、デカイ方の将臣とチビな俺。
 チビでもあれは俺だからな・・・油断ならない。
 手早く四人分の食事の支度を始める。
 ただし、ハンバーグは二人分。
 あっちの俺だって、食わないだろうし。
 しかし・・・これは“カプチーノ”の所為なのか?
 俺は自分がチビに戻れない事に気づいてはいる。
 この現象は何だ───?





「うっ・・・腰いてぇ・・・・・・って、どうした?知盛」
 いつも、将臣の腕枕役の知盛が、チビのままで将臣に腕枕されている。
「・・・おはよ」
 姿はチビでも、知盛は知盛。素早く将臣の額にキスひとつ。
「・・・お前、チビでもエロだな。腹減ったなぁ〜〜〜」
「そろそろ出来る。起きれば?」
「おっ!気が利くな〜、じゃあ起きるか!」
 勢いよくベッドから起き上がる将臣。しかし───
「チビに戻れないぞ?」
 振り返り、チビ知盛を見るデカ将臣。
「・・・別にいいだろ?」
 両手を広げてバンザイのポーズをする知盛。
「まあ・・・いいけどよ。お前、何かしただろ〜〜〜」
 指でチビ知盛の額を軽く弾いてから、抱き上げる将臣。
「メシが先だ、メシ〜〜〜♪いい匂いするしな!」
 そのまま食事の部屋へと二人は移動した。





「知盛?!それに・・・俺ぇ〜?んじゃ、コレは???」
 テーブルに食事を並べるデカイ知盛とチビな将臣を見て、デカイ将臣が声を上げた。
 知盛向かって、抱いていたチビ知盛を突き出す。
「・・・“コレ”扱いとは失礼な奴だな。まあ・・・呼び名は同じじゃ不便だ。決めるか」
 チビ知盛を将臣に押し返しながら、デカイ知盛は顎に手を当てて考え込む。
「は〜い!はい、はい、はぁ〜い!!!」
「何だよ、チビ将臣」
 デカイ知盛が、チビ将臣を抱き上げた。
「あのね〜?チモリはチモリがいいよぉ〜」
「・・・そうか。じゃあ・・・チビは“チモリ”で俺は“知盛(とももり)”でいいな?」
 知盛が将臣たちを順番にみれば、チビ将臣は満足そうに肯いている。
「じゃあ・・・俺たちは?」
「デカ将臣とチビ将臣でいいだろうが・・・・・・」
 知盛が面倒そうに提案すると、将臣が知盛に反論した。
「もう少し工夫しろよな〜!自分たちだけスッキリ決めやがって!!!」
 そもそも、チビとデカに固体が分かれているのが問題なのだが。
 この辺り、将臣の良いところである。
 論点ズレを軌道修正しない知盛も中々の策士ではあった。
「それなら・・・チビ臣と将臣にすればいいだろ」
 チモリがさっさと食卓につく。
「おっ!それいいな。んじゃ、お前はチビ臣だ」
 将臣がチビ臣をチモリの向かいの椅子に座らせ、その隣に自分も座る。
「早くメシにしようぜ〜〜、朝からハンバーグかぁ。らっきぃ☆」
 将臣がチビ臣と笑い合う。固体が別でも、元々が同じモノ。
 行動も好きなモノも、そう変わるはずがなかった。
「待ってろ。スープがあるから。チモリ、手伝え」
 知盛とチモリがスープを運ぶと、和やかに食事が始まった。



 それなりに腹も満たされ、ようやく将臣が疑問を口にした。
「ところで・・・コイツらって何?」
「・・・クッ、クッ、クッ」
 知盛が下を向いて笑い出す。
「何だよ、感じ悪いなぁ。それにさ、俺チビに戻れないんだけど?」
「へぇ〜?別に、そのままでもいいだろう?楽しめるし」
 普段は小さい姿でも、夜だけは別。
 知盛にしてみれば、昼間もこの姿なら、いつでも美味しくいただける環境。
「なっ!ば、ば、ば、馬鹿野郎!子供の前で何言って・・・・・・」
「ママ〜!」
 タイミングよく、チモリが将臣を呼んだ。
「じゃあさ、パパだよね?」
 チビ臣も知盛の顔を覗き込む。
「・・・将臣は、昨夜は頑張りすぎて。頑張りついでにコイツらまで産みましたとさ」
 立ち上がると、食器を片付け始める知盛。
「・・・産めねえし!ないから、そういう機能は」
「まあ・・・少し待て。片付けたら散歩でもしようぜ?将臣ママ」
 まとめた食器を台所へ運びながら知盛が言い置く。
「ああ。散歩は賛成だ、知盛パパ。ほら、チビ共。歯を磨くぞ」
 文句をいいつつも、しっかりチビたちの世話を将臣はしていた。

 “ママ”を否定しなくていいのかよ?俺を“パパ”呼ばわりして───

 少し緩んだ口元の知盛は、楽しく台所で後片付けをした。
 パパが家事全般をする家の不思議に、ツッコミする者はなかった。








(Printing day:2005.07.02)

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